事例1:【遺言書がなく、相続人同士が円満なケース】

「相続財産」 実家(不動産)と 預貯金の相続

状 況:群馬県前橋市在住のAさん(故人)が亡くなった

相続人は長男Bさん、長女Cさんの2名。

Aさんは遺言書を残していなかった。

相続財産は、前橋市内の自宅(土地・建物)と、金融機関の預貯金のみ。

相続人であるBさんとCさんは仲が良く、遺産分割について特に争いはない。

Bさんが自宅を相続し、Cさんには預貯金の一部を渡すことで合意している。

手続きのポイント

1.相続人調査・相続財産調査: Aさんの戸籍謄本等を取り寄せ、相続人全員 を確定。金融機関からの残高証明書等で預貯金の額を確認。

2.遺産分割協議: BさんとCさんの間で、自宅はBさんが、預貯金はCさんが指定の割合で相続する旨の合意を形成。

3.遺産分割協議書の作成: 協議内容に基づき、書面(遺産分割協議書)を作成し、相続人全員が署名押印する。

4.不動産の相続登記: 遺産分割協議書を添付し、前橋市を管轄する法務局(前橋地方法務局)に所有権移転登記を申請し、名義をBさんに変更する。

5.預貯金の解約・名義変更: 遺産分割協議書やAさんの除籍謄本等を持参し、金融機関で預貯金の解約手続きを行い、Cさんの指定口座へ送金する。

専門家の関わり

司法書士: 遺産分割協議書の作成サポート、不動産の相続登記手続き、預貯金の手続き代行。

行政書士: 相続人調査・相続財産調査のサポート、遺産分割協議書の作成

預貯金解約手続き、各種名義変更手続き

事例2:【相続人に未成年者がいるケース】アパートと株式の相続

状況:群馬県高崎市在住のDさん(故人)が亡くなった。

相続人は、配偶者Eさん(Dさんの妻)と、長男Fさん(15歳)、長女Gさん(10歳)の3名。

Dさんは遺言書を残していなかった。

相続財産は、高崎市内のアパート一棟と上場企業の株式。

未成年の子がいるため、遺産分割協議をどのように進めるべきか悩んでいる。

手続きのポイント

1.特別代理人の選任: 未成年の子であるFさんとGさんは、親であるEさんと相続人として利益相反となるため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要がある。特別代理人は、通常、親族以外の第三者(弁護士など)が選任されることが多い。

2.遺産分割協議: 特別代理人を含め、相続人全員(Eさん、Fさんの特別代理人、Gさんの特別代理人)で遺産分割協議を行う。

3.遺産分割協議書の作成: 合意内容に基づき、書面を作成し、相続人全員および特別代理人が署名押印する。

4.アパート(不動産)の相続登記: 遺産分割協議書等を添付し、高崎市を管轄する法務局(高崎地方法務局)に相続登記を申請する。

5.株式の名義変更: 証券会社または信託銀行を通じて、株式の名義変更手続きを行う。

専門家の関わり

弁護士: 特別代理人選任の申立てサポート、特別代理人として選任されることも多い。

司法書士: 不動産の相続登記手続き、株式の名義変更手続きのサポート。

行政書士: 相続人調査・相続財産調査のサポート、遺産分割協議書の作成

預貯金解約手続き、各種名義変更手続き

事例3【相続放棄を検討するケース】借金がある場合の相続状況

群馬県伊勢崎市在住のHさん(故人)が亡くなった。

相続人は、長男 I さんのみ。

Hさんには多額の借金があり、財産よりも負債が多いことが判明した。

Iさんは、Hさんの借金を相続したくないと考えている。

手続きのポイント

1.相続財産の調査: Hさんの預貯金、不動産だけでなく、借金の有無や金額を正確に調査する。信用情報機関への開示請求なども検討する。

2.相続放棄の検討: 負債が資産を上回ることが確実な場合、Iさんは相続放棄を検討する。

3.相続放棄の申述: 相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に、故人の最後の住所地(Hさんの場合は伊勢崎市を管轄する前橋家庭裁判所伊勢崎出張所)に申述書を提出する必要がある。

4.必要書類の準備: 戸籍謄本など、相続放棄に必要な書類を漏れなく準備する。

専門家の関わり

弁護士: 借金の調査、相続放棄の要件や手続きに関するアドバイス、家庭裁判所への申述手続きの代理。

司法書士: 相続放棄申述書の作成サポート、必要書類の収集サポート。

 

事例4:【遺言書があるケース】遺言書による不動産の相続状況

群馬県太田市在住のJさん(故人)が亡くなった。

相続人は長男Kさん、長女Lさんの2名。

Jさんは「全ての財産を長男Kに相続させる」という有効な公正証書遺言を残していた。

相続財産は、太田市内の自宅(土地・建物)のみ。

手続きのポイント

1.遺言書の確認: 遺言書の種類(自筆証書遺言、公正証書遺言など)と内容を確認する。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要となる(公正証書遺言は不要)。

2.不動産の相続登記: 遺言書を添付し、太田市を管轄する法務局(前橋地方法務局太田出張所)に所有権移転登記を申請し、名義をKさんに変更する。

3.遺留分への配慮(任意): 長女Lさんには遺留分減殺請求権がある可能性があるが、本件では「全ての財産を長男に」という遺言であるため、Lさんがその権利を行使しない限りはKさんが単独で相続する。

専門家の関わり

司法書士: 不動産の相続登記手続きの代行、遺言書の有効性の確認。

弁護士: 遺言内容の解釈、遺留分に関する相談、遺留分減殺請求への対応。

 

事例5:【相続税申告が必要なケース】広大な土地と複数の金融資産の相続

状況:群馬県渋川市在住のMさん(故人)が亡くなった。

相続人は、配偶者Nさん、長男Oさん、長女Pさんの3名。

Mさんは、渋川市内に広大な宅地と農地を所有しており、複数の銀行に多額の預貯金、さらに投資信託やゴルフ会員権なども所有していた。

相続財産の総額が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人の数)を明らかに超える見込みである。

手続きのポイント

1.相続財産全体の評価: 不動産(宅地、農地)、預貯金、有価証券、その他財産の評価を正確に行う。不動産評価は特に専門知識が必要。

2.相続人調査・遺産分割協議: 相続人全員で、どの財産を誰が相続するか協議し、遺産分割協議書を作成する。

3.相続税の計算: 評価額に基づき、各相続人の取得分に応じた相続税額を計算する。

4.相続税申告書の作成・提出: 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、故人の最後の住所地(Mさんの場合は渋川市を管轄する前橋税務署)に相続税申告書を提出する。

5.納税: 申告期限までに、税金を納付する。

専門家の関わり

税理士: 相続財産の評価、相続税額の計算、相続税申告書の作成と提出、節税対策のアドバイス(生前対策含む)。

司法書士: 不動産の相続登記、金融資産の名義変更手続き。

行政書士: 相続人調査・相続財産調査のサポート、遺産分割協議書の作成サポート。


これらの事例はあくまで一例であり、実際の相続手続きは個々の状況によって大きく異なります。ご自身のケースに合わせた適切な手続きを進めるためにも、早めに専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。